ドゥ・マゴで逢いましょう'99

1999年11月5日(金)


11月5日、金曜日。有給休暇。晴れ。

今日はシアターコクーンで、シネマプリズムの宋存壽監督作を続けて三本観る予定。ティーチインがないのは残念だが、時間的、体力的には楽である。

古鏡幽魂 ◇ 古鏡幽魂 ◇ Ghost of the Mirror

宋存壽という監督の名前は知らなかったが、「台湾ニュー・ウェーヴの祖」らしい。今回、何の前ぶれもなく特集が組まれ、70年代の代表作3本が上映されることになった。まず1本目(通算7本目)は『古鏡幽魂』。無名の旧作だし、ゲストもなしなので、入りはまあまあという程度。

■映画について

石雋、林青霞主演のチャイニーズ・ゴーストもの。苦手分野なのでけっこう退屈した。若い頃の石雋の顔も苦手で、あまりアップで見たくないが、さらにキャミソールにしか見えない下着姿もあり、かなり気持ち悪かった。林青霞の古装片といえば近年のような凛々しい姿を期待してしまうが、ここではかわいいタイプのゴーストを演じており、ちょっとジニー入ってます(『かわいい魔女ジニー』SKY PerfecTV! ch.275参照)。『日本誕生』のヤマタノオロチに対抗できる変な毒龍も出てくる。

◇◇◇

あまり時間がないので、文化村のまわりを歩いて『飛龍』という一口餃子屋に入る。最近、こういった鉄鍋餃子の店が腐るほどできているが、ほんとにおいしいところは少ない。近場といえば、去年まで御用達だった『ジュンバタン・メラ』がいつのまにかなくなっていたのがショックだった(つぶれたのか?)。お昼に行くと、プログラムを読んでいる人や映画の話をしている人ばっかりで、なかなか楽しい光景だったのだが。

窓の外 ◇ 窗外 ◇ Outside the Window

宋存壽監督特集2本目(通算8本目)は『窓の外』。これは林青霞のデビュー作として、また一世を風靡した台湾メロドラマの代表作として、かなり知られている。そのためか比較的観客は多い。

■映画について

女子高生(林青霞)と教師の悲恋メロドラマ。若い娘の魅力にはまって破滅する中年男、といえばJeremy Ironsにご登場願いたいが、ここではふつうのおじさんなので興ざめだ。なぜか破滅した後の方が魅力的である。物語の振幅が激しいわりに人物描写が浅いので、ほとんど感情移入できない。林青霞は、女子高生を演じる前半はすごくかわいいが、後半は一目でそれとわかるカツラにケバい化粧で台無し(でもこっちの方がその後の片鱗が窺える)。あんなミニスカートでかわいい制服の学校は、今の台湾にもないと思う。

母親三十歳 ◇ 母親三十歳 ◇ Story of Mother

宋存壽監督特集3本目(通算9本目)は『母親三十歳』。これには林青霞が出演していないためか、観客はさっきより減った。

■映画について

病気の夫を置いて不倫をした母親と、それが許せずずっと別れて暮らす息子のお話。『窓の外』と同様、物語の振幅が激しいが、3本の中ではこれが一番よく、感情移入しにくいながらもけっこう観られる。キャメラが『少年』の陳坤厚なので、はっとするショットもある。主人公(秦漢)の少年時代を演じるのが子役時代の庹宗華(『古鏡幽魂』にもご出演)。肥満気味で、穴があくほど顔を見ても現在の面影は感じられなかった。70年代ブームのおかげか、女の子の服装などには違和感がないのに、男はことごとくダサい。

◇◇◇

『喜楽』の隣に平日しかやっていないおいしい餃子屋があるという話だったが、私はまだ一度も行ったことがない。「金曜日の今日がチャンスだ」と思い馳せ参じたが、大人のおもちゃ屋に変わっていた。せっかくなので大人のおもちゃを買って帰った、というのはウソで、渋東シネタワーの1階にある南欧料理屋に行ってみる。変わったパスタがいろいろあって味は悪くなかったが、麺がちょっと堅すぎだった。


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作成日: 1999年11月30日(火)
更新日:2004年12月29日(水)