台北 in cinema
台北が出てくる映画


蔡明亮楊徳昌。台北の映画というと、まずこのふたりの監督が頭に浮かぶ。一貫して台北を撮り続けており、例外もあるが、西の蔡明亮、東の楊徳昌といえる。

台北の空気を最もよく捉えているのは蔡明亮の映画だと思う。『青春神話』(1992)、『愛情萬歳』(1994)、『』(1997)、『Hole』(1998)、『ふたつの時、ふたりの時間』(2001)。台北を舞台に、小康=李康生が少しずつ成長し、年をとっていく。別の国の別の都市でも成り立ち得る物語を描いていながら、画面には台北の空気が充満し、その存在感は圧倒的である。ほとんど室内で物語が進行する、風景とは無縁の『Hole』でさえ、そこにあるのはまぎれもない台北の空気である。

一方楊徳昌は、20年近く台北を撮り続けている。『光陰的故事』(1982)、『海辺の一日』(1983)、『恐怖分子』(1986)、『[牛古]嶺街少年殺人事件』(1991)、『エドワード・ヤンの恋愛時代』(1994)、『カップルズ』(1996)、『ヤンヤン 夏の想い出』(2000)。その映画を観ることで、台北の変わりゆく姿をたどることもできる。特に印象深いのは『恐怖分子』で、最近の映画は空気が薄くなっているように感じられる。

宝島 トレジャー・アイランド』(1993)、“我的美麗與哀愁”(1995)の陳國富も台北を撮り続けている監督のひとりだが、残念ながら『宝島』しか日本公開されていない。

ほかに台北に生きる人々を描いた作品には、陳玉勲『ラブ・ゴーゴー』(1997)、林正盛『青春のつぶやき』(1997)、『台北ソリチュード』(1997)、柯一正『藍月』(1997)、陳以文『Jam』(1998)、萬仁『超級公民』(1998)、黄銘正『城市飛行』、呉米森『恋愛回遊魚』(2000)などがある。一般に、台北が舞台ということは都会の生活を意味するが、張作驥『チュンと家族』(1995)は郊外が舞台であり、雰囲気を異にしている。

台北はまた、田舎と対比した都会として描かれることも多い。徐小明『天幻城市』(1992)では、田舎の若者が台北へ出て行き、侯孝賢『恋恋風塵』(1987)では、台北と田舎(実家)との往復が繰り返し描かれる。侯孝賢『ステキな彼女』(1980)、『風が踊る』(1981)、『冬冬の夏休み』(1984)、陳玉勲『熱帯魚』(1995)では、台北の青少年が田舎へ行き、新たな体験をする。

同時代の台北がほとんど台北で撮影されているのに対して、過去の台北は地方で撮影されることが多い。王正方『ファースト・デート 夏草の少女』(1989)、楊徳昌『[牛古]嶺街少年殺人事件』(1991)は、ともに1960年前後が舞台だが、淡水(台北縣淡水鎭)、屏東(屏東縣屏東市)、金瓜石(台北縣瑞芳鎭)などに当時の台北の面影を求めている。その点、侯孝賢『恋恋風塵』(1987)は、台北で撮影しながら1970年前後の雰囲気がよく出ている。

台北が出てくる香港映画には、呉宇森『男たちの挽歌』(1986)、王家衛『ブエノスアイレス』(1997)、關錦鵬『ホールド・ユー・タイト』(1997)がある。中でも『ブエノスアイレス』は、登場シーンは短いながら、台北の古い顔と新しい顔がうまく映し出されている。日本映画では、松尾昭典『金門島にかける橋』(1962)、森永健次郎『星のフラメンコ』(1966)に60年代の街並みが残されており、最近では、林海象『海ほおずき』(1995)にも登場している。



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作成日:2002年9月8日(日)